トマオニ開店当時から玄関先に植えられていた桜の木を、つい先日伐採しました。
創業からの歴史と年月を重ねて大きくなった木で、毎年春にはどこよりも早くきれいな花を咲かせ、ご来店のお客様の目をなごませてくれた木。伐採への決心がなかなかつかず悩みました。
なぜ切ったのか。理由は、「根」にありました。写真でもご覧頂けるように、自分の体を支えるべく一所懸命根を張っていき、年々太くなって四方に這っていきました。ついにはお客様の歩くレンガを掘り起こし、時々お客様がつまづきそうになる所を見たりしました。さらに、一部の根が玄関の壁付近まで到達し、このままではお店の下に根が入り込んで、お店を壊す可能性が高い、との判断に至りました。
伐採の必要性は随分前から指摘されていて、いつ
切るべきか決められず、時間ばかり経っていました。
仲間の意見を問うと、ほとんどが
「切っては可哀そうだ」「風情がなくなってさびしい」
「生き物を切ると悪いことが起こるのでは」・・・
などなど、皆いい顔はしない。変化を好まないのが無難。
かといって、根がこのまま張り続けたら・・・
意見を聞けば聞いたで、頭が痛くなる毎日でした。
結局、これが先延ばしの所以となるわけです。
伐採の1か月前には、屋根に上ってかなり床屋をした
ばかりの桜。シルバーさんによると、桜は自分の体を
雨風で倒れないよう、枝の長さと同じくらいまで根を張る
そうで、よく見てみたら本当にそのくらいまで地を這って
伸びていました。
桜も生きるため真剣だったんだな~と。
そんなこんなの情を入れ込んでしまうため、なかなか
切るに切れない気持ち。なんとも言えないものです。
でもほっておくと、店を壊すかもしれない。
ある日、たまたま事務所敷地内にあった35年の木を
切りに来たシルバーさんが、
「さーて、お店んどごの桜、なあどするえ?」
と問われ・・・
・・・・
ぐずっている私に、シルバーさんはやさしく「伝承」します。
「昔の人は、木を切れば災いが起ぎっとか、けがァすっとか
言ったもんだ。でも、そういうことは、何か悪いごどが起きた
時だけしか言わね。何事もねえば、誰も何にも言わねえのす。
悪いことが起ぎだ時だけ、木のせいにする。それもおがすな話だ。
要は、その人の気持ず次第。心がけ次第、つーことだでば」
・・・
シルバーさんの助言が頭から離れず
思案して30分。
「・・・今しかない!お願いします」
結局、切りました。迷って迷って、まさに断腸の思いでした。
が、しかしながら、伐採の後は写真の通り。
お店の前はシルエットがくっきり浮かび上がり、
Tomato&Onionのロゴが駐車場のどこからも見える
ようになりました。JAさん側の道路、日本生命さん方面からも
しっかりと。
ホント、スッキリ。
なんとなく新しい店を見ている気分で、新鮮でした。
桜の幹は、小さく切って、うちの従業員さんが工作にして
彫刻したいと申し出てくれました。名残惜しかった気分を
なごませてくれるおまけの一言でした。
最後は、心機一転、いいお店にするため、もっともっと頑張るぞ~
と心に誓った私でした。
桜さん、オープンから10年間、有難うございました。
来春は切り株まわりを花でいっぱいにする予定です。
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